2002年10月の大雨による石垣島東南部の畑の侵食例

A
 気象状況
2002年前半石垣島は気象台始まって以来の少雨であったが、10月になって前線が停滞し、10月における1ヶ月間の雨量としては気象台始まって以来の雨量(極値)となった。(1897-2002年の石垣島気象台の記録の最大値)
各地で農地の耕土流出が起こった

B 侵食地図と写真
10月19日と23日、30日の大雨後石垣島の東南部を中心に農地の侵食状況を写真に撮ったのものをまとめた。
これは農地を網羅的に調査したものでなく、島の中心部、西部、北部地区については全く調べていない


石垣島の東南部の地図です。赤い番号の所をクリックするとその場所の写真を見る事ができます。
被害のひどい所は53,60,61,76,84,85,70,69,97
数字の前につけたアルファベットは a侵食の少ない畑の例、 b表面侵食の例、 コンクリート水路に沿った土壌侵食の例。全体としては水流によるガリー侵食が多い。
撮影は特に書いてない場所以外は10月19日の118mm、10月29,30日の340mmの雨の後の写真。
一部の写真が出ない場合は更新のボタンを押すと直ります。

追加更新 2002年12月31日 まだ地図の上に載っていない 101,102,103,104

C 降雨と土壌流出の特徴
 10月の中旬より30mmの雨が2回続いた後、10月19日118mm(1時間最大降雨量36mm)の雨によって土壌流出が起こった。
続いて23日に144mm(1時間最大降雨量61mm)の雨が降った。
記録に残る大雨は29,30日の連続した雨で、気象台では335mm(1時間最大降雨量68mm)、空港では435mmを記録した。この雨は石垣島東海岸よりに集中的に降ったようだ。なお、10年確率連続雨量の数値は387mmである。
 29,30日には大雨による住宅の床下浸水や道路陥没などの被害はあったが、畑の土壌流出に関しては19日の118mmの雨で流れる所は流れてしまい、29,30日の記録的な雨でも19日でのガリー侵食のあとを流れるような形になり、雨量の違いほどの土砂流出差はないようだった。これは侵食に対する免疫と表現する事ができる。
農地の状態は、8月頃から始まり11月初旬まで続くサトウキビの夏植えの最中であった。
最も赤土流出しやすい植付け前後のロータリー整地状態の畑が多く、ひどい土壌流出の要因となった。
19日、23日、29日と大雨の間に間隔があり、植付け前の畑ではその期間にキビ植付けのため、ガリー侵食したところに再度ロータリー整地を行なった畑もある。
結果として上に述べた侵食に対する免疫がなくなり、前の侵食で低くなった所に排水が集中してさらにひどい侵食を起こした。

2002.11.12磯辺川河口

D 調査結果の概要

1.農家への負荷
土壌侵食の現場の写真を撮っている時に農家がいあわせると、このような状況を何とかしてくれと強く頼まれる。農家個人では対処の仕方がわからない例が多い。
耕土の流亡は長い目で見ると農地基盤がなくなると同時に、目の前に流されているキビ苗を拾い集め、植え直し、土をかぶせる作業をすぐしなくてはならない。反対に苗に土がかぶった所ではその土を取り除いてやらないと土の中でキビ苗が死んでしまう。植え直しは通常の植付けに較べ、3倍くらいの手間がかかった上に収量も悪くなる。補植用のポット苗を買ってもお金がかかる。農家は大変困っている。

2.被災対策
営農上で当面一番困るのが畑の外から流れ込んだ水によるガリー侵食あるいは土の堆積である。これに関しては流入水止めの土手作り、現場排水路の掘削など小規模な土木工事で止められる個所が多い。若い農家だとユンボなどで自分で畑の地形を直す事もできるが、年寄りには肥料袋に土を詰めてひどい水の流れを弱める事ぐらいしかできない。耕土保全のため比較的少ない予算(数万円から数十万円)でコストパフォーマンスの高い小規模な土木工事を被災地を中心に積極的に導入して欲しい。

3.排水路の拡充
次に水路の断面が足りず、オーバーフローしている例が多い。現在計画中の水路の新設、拡幅は土地改良地区内外を問わず早急に実施が必要である。

4.表面侵食
水流によるガリー侵食だけでなく面状侵食が多いことがわかった。これは耕やされた表土に雨が直接当たる事から発生する。
これに対しては耕運、砕土を中心とする現行の栽培法の全面的な見直しが必要である。(減耕起、不耕起、リビングマルチ等)

.コンクリート水路の横の土壌流亡
水路に接する農地が低く削られてしまい、農地が水みちになってなって削られつづけている個所が水路隣接農地の30%で起こっていて、回復することなく進行している。この対策のひとつとして草生水路の導入を検討したい。

6.草地の赤土流出防止機能
ここ10年間で採草地の面積がかなり増えているが、一年中牧草で土壌表面が覆われ、耕土流出がないばかりでなく、サトウキビ畑から流出する土砂を吸収し、高い土壌保全効果があることが実証された。肉牛経営については、今後糞尿の適正な農地還元、バイオマスエネルギーの抽出などの畜産系資源循環システムを作り上げ、支援する必要がある。

土壌保全型作目の導入
.通称ヤクルトの木と呼ばれている作目が大浜地区に多く見られた。これは定期的に葉と茎を収穫して薬用成分を抽出する契約栽培である。この作目では採草地と同様ほとんど土壌侵食が見られなかった。木本であるため何年間も不耕起で、常に地表が雑草と株もとのビニールマルチで覆われている。さらに侵食防止のため水路と接する所に雑草で土止めをしている例も見られた
 畑の耕運を繰り返すサトウキビをこのような永年作目に交代させていく事が赤土流出防止に最も効果的である。
1300ヘクタールを占めるサトウキビの面積(2000年)に対応できる代替作目の一つとしてエネルギー作物がある。
具体的には光合成効率の良いネピアグラスなどの永年生牧草からの選抜が良いのではないだろうか。
 エネルギー作物では現在年に数ヶ月しか稼動していないサトウキビの収集、運搬システムを1年を通して利用することができる。
石垣島に運び込まれる最大の品目(重量換算)はエネルギーとして使われる石油とガスで、年間15万トンになる(2000年港湾統計)。住民ひとり当たり3トンのエネルギーを消費したことになり、これは地球温暖化ガス二酸化炭素となって全て空気中に放出される。
エネルギー作物は化石燃料によらない再生可能エネルギーの有力候補である。
シュミレーショによれば食糧生産ときびしく競合する2050年頃までは立地可能と考えられる。
高温多雨の石垣島では一年中緑が絶えず、このようなバイオマスエネルギー利用の可能性が日本の中で最も高い。

 この調査は財団法人トヨタ財団による2002年度研究助成 .これからの地球環境と人間生存の可能性 研究資金の協力を受けました。

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